研究室の扉開け放しで廊下から中丸見え状態なのに、微妙にセクハ
ラな壁紙を画面2面にでかでかと貼り付けたパソコンでプロフェッ
サー・レオがなにやら仕事をしている。
そこに場違いなセーラー服姿の姫ちゃんがテテテっと入ってきた。

姫ちゃん「センセ、姫ちゃんきたですよ
 なにしているですか、またネットであそんでいるですか」
レオ 「うっ、またおまえは勝手に入ってきて...
 いま仕事で忙しいから、あっちいけっ、しっしっ」

邪険に遇らうプロフェッサー・レオに姫ちゃんは全然構わず、勝手
にパソコンの画面を覗き込む。

姫ちゃん「なんだスラドじゃないですか
 あのたかが10個ぐらいの記事を表示するだけでサーバ負荷中
 連続投稿を拒否して、投稿してもなかなか更新されない旧態然の
 くせに技術オタクのオピニオン気取りのダメ人間の集まるところ
 ですよね、師匠がそういってましたですよ」
レオ 「ホントにほくなんがそんなこと言ってたのかよ」
姫ちゃん「お母さんも言ってたです
 あそこは口先だけでなんにもできないチキンの集まりだって」
レオ 「お、お母さんって?おまえ親いるの?」
姫ちゃん「いるですよ、アタリマエじゃないですかぁ
 そうそう今日はお母さんが作った同人誌を売りにきたですよ
 センセ同人誌すきですもんね」

姫ちゃんはくまのヌイグルミの形をしたショルダーバックを背中か
ら降ろしてごそごそと中をまさぐる。同人誌と聞いて話の流れ全部
忘れて姫ちゃんの手元を目で追うプロフェッサー・レオが呟く。

レオ 「で、でも腐女子系とかBL系はダメだかんな...いや、
 資料として確保しておく分はアリかな...うん、アリアリ」
姫ちゃん「大丈夫ですよ、これからのWEB3.3 では必須アイテムと
 お母さんが言っていたです
 ジャーン、これです」

姫ちゃんが出したのはコピー本のような小冊子、でも製本してある
らしく外見上は官公庁のパンフレットみたいに見える。同人誌とし
ては上等な方だ。

レオ 「なになに『素人の素人による素人のための強制執行入門』?
 なんだこりゃ、借金のかたに陵辱タイプ系かな」(←オイオイ)
姫ちゃん「センセの好きな挿絵も大盛りです!何箱買いますか?」

パラパラと小冊子のページをめくるプロフェッサー。レオ、それを
ワクワクしながら見守る姫ちゃん。

レオ 「オイ、この挿絵ハナハルの同人誌のスキャンじゃねーの?
 たしか『ロケットの夏』とかで見たような絵だけど」
姫ちゃん「そんなことないです、モデルは姫ちゃんですよ」
レオ 「...ですよって、そりゃますます萎えるなぁ」

そこに偶然廊下を通りかかり、部屋の中に姫ちゃんを見つけた女性
が姫ちゃんを呼んだ。

理恵 「あら、姫ちゃん?そんなところでなにをしているの?」
姫ちゃん「あれ、理恵タン?おはこんばんわです」

姫ちゃんに「理恵タン」と呼ばれた女性は、保険の外交員みたいな
グレーのタイトスーツ姿で大きな黒の書類入れを肩に掛けている。
彼女は断りもなくつかつかと研究室に入り込んで来るや、姫ちゃん
とプロフェッサー・レオとの間にムリクリ割り込みあからさまに、
悪質変質者からいたいけな少女をガードの体勢をとる。

理恵 「あなた、この娘になにをしていたんですか!!!」
レオ 「あ、いや、保護者の方ですか
 オレ、いや私この部屋のものなんですけど、この娘が勝手に部屋
 に入ってきちゃって...あの...困っていたんですよね」

見ると問題モトの姫ちゃんは脱兎の如くとんずらして消えてしまい
釈明のしようがない。しかも手には姫ちゃんが持ってきたイカガワ
シイ挿絵満載の怪しげな同人誌、パソコンの画面には少女がアラレ
モナイ姿態を晒すマンガの壁紙どれもこれも不利な証拠ばかりが研
究室に並んでいるのだった。

かくして、モノホンの弁護士に未成年者略取及び誘拐で訴えられた
プロフェッサー・レオの逆転裁判なるか、あしたはどっちだ。

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のりたま@スラド編集者就任おめでとうございます記念
     すこしはネットニュースもかまってくれ篇