In article <fuyamay-022FD8.12094413012005@news.media.kyoto-u.ac.jp>,
 Yoshiaki FUYAMA <fuyamay@cosmos.dti2.ne.jp> wrote:

> 1) FOX2P(全長715アミノ酸)のアミノ酸配列はきわめて保存的で、2個
>  所にあるグルタミンの反復配列の長さの変異を除けば、ヒトとマウスの間
>  でも3個所のアミノ酸しか違わない.

FOX2Pは FOXP2のまちがいです(以下同様).

失礼いたしました.

> 2) チンパンジー、ゴリラ、およびアカゲザルのFOX2Pでは、マウスとの違
>  いは1個所しかみらない.つまり、3個所のうちの2個所はヒト固有であ
>  り、また、ヒトの集団内では固定している.
> 
> 3) ヒトに固有な2個所のアミノ酸が、チンパンジーとの共通祖先からヒトが
>  分かれてから正の自然選択によって固定した可能性を検討するため、さま
>  ざまな人種のヒト20人、チンパンジー2頭、オランウータン1頭につい
>  て、FOX2P遺伝子のイントロンの配列を決定、比較した.
> 
> 4) その結果、中立仮説からの予想に比べて、(1) まれな対立遺伝子が過剰で
>  あること、(2) 派生対立遺伝子の頻度が高いことから選択浄化、つまり正
>  の選択が働いたことが示唆される.
> 
> 以上が主要な結果で、これから2個所のアミノ酸がヒトの集団で固定した年代
> を推定しているのですが、それほど信頼できるようなものではないと思います.
> 最尤法を用いて推定した結果はなんと0年(95%信頼限界は0〜12万年)と
> でたそうです(^^ゞ 近年の人口の急増による効果を考慮すると、固定年代は
> おそらく1万〜10万年前であろうというもので、解剖学的に現在のヒトが成
> 立したと考えられる20万年前以降のことであろうというのが結論です.
> 
> という次第で、20万年という数字には.95%信頼限界の12万年よりは大
> きいといった程度の根拠しかないと思います.こういう数字はとかく一人歩
> きしがちですが...

-- 
Yoshiaki FUYAMA
fuyamay@cosmos.dti2.ne.jp