NHK国際放送の在り方が、参院総務委員会で論議の的になっている。
 古森NHK経営委員長は、「公共放送であるNHKは国内放送では中立の立場でなければならないが、国際放送では国益を重視した放送にすべきだ」という持論である。
 国営放送なら、国益重視でまくし立ててもよいが、公共放送である限りは、日本の主張、相手の主張との食い違いや、日本の立場を分かり易く、誤解を与えないように解説することに限るべきで、国益を面前に立てることは、この放送は宣伝放送だから信用できないと、却って視聴者を構えさせ、色眼鏡を掛けさせるこしになるだけではないか。
 それが世界に信用される国際放送のあり方であると思う。
 古森氏は「国際ビジネスで相手の立場を考えて交渉することはありえない」と言っているが、ビジネス上の駆け引きの世界との違いが分かっていないらしい。こういう人が公共放送の経営委員長としては不適任である。
 村上新八