中国にとっては、独立を求める仏教のチベツトとイスラム教の新疆ウイグルはアキレス腱だ。
 その一つチベットでの大規模なデモの発生は、オリンピックを直前にした中国にとっては大きなショックであることは分かる。
 が、一切の外国人ジャ−ナリストの現地入りを拒否して、一方的にデモの犯罪性とダライ・ラマの煽動疑惑を強調し、武力制圧の実態を押し隠し、沈静化を装う姿勢は却って中国に対する疑念を深めるだけである。
 このチベット騒動問題は、インド訪問中の米国のペロシ下院議長がダライ・ラマと会談するなどの動きがあるほか、欧州でも大きくとり上げられ、チベット支援のデモが各地に広がるだけでなく、フランス、ポルトガルなどでは、オリンピックボイコットの声まで上がり始めているのだ。
 中国にとっては、これは嫌なことに違いあるまい。だとすれば、国連の調査団の受け入れまではゆかなくても、外国人ジャ−ナリストの現地入りくらいは認めて、実態をあからさまにしたらどうか。それもできない、とすれば、世界の中国に対する人権弾圧の疑念はますます強くなり、本当にオリンピックのボイコットにまで進む可能性があることを知るべきである。
 村上新八