19日NHKの報道番組で、知られざる派遣の実態を放映した。
 派遣が搾取されていることは知ってはいたがこれほどひどいものだとは思わなかった。 

 派遣社員は派遣会社の社員ではあるが、半年くらいの短期雇用であり、身分の保証もなく、会社に待遇改善の要求でもしようものなら、雇用を打ち切られるという弱い立場にある。
 法律では6ヶ月以上雇用関係が続けば、厚生年金、医療保険に加入させねばならないが、それも無視されている。一箇所で3年以上派遣が継続した場合は正社員に登用するよう要求できることになってはいるが、それも履行されてはいない。
 しかも、重複雇用と称して、派遣先会社と本人との間に複数の派遣会社が介在して、各会社が手数料を派遣給与から天引きするから、本人の手元には、派遣先会社が支払った給与の半額以下しか渡されていない。
 これは、派遣社員を食い物にする詐欺行為そのものである。が、監督官庁は、これを処罰することは出来ず「指導」という生ぬるいやり方しかできないから、こういう仕組みがなくなるはずがないのだ。
 これを改善すべく、弁護士会が動いてはいるが、経団連幹部は、この派遣法を改正すれば、日本の企業がグロ−バル競争に負けてしまう、ということを理由に更に改悪しようと、政府に働き掛けているという。
 経済大国日本の企業がこんな形で、弱い立場にある派遣社員を搾取しなければ競争力を維持できない、とは情けない限りである。
 これこそ「現代のたこ部屋」である。
枡添厚労相はこの事実を知っているのか。緊急に手を打つべきである。
 村上新八