安倍首相が首相としては6年ぶりに広島で被爆者団体代表と面会し、「原爆症認定基準の見直しを指示する」と発言した。
 この認定基準は科学的な根拠に基づいて設定されているというが、これを巡っては各地で裁判が起こされ、政府側の敗訴が続いているというから、見直しを検討する必要はあるし、現に厚労省では作業を始めているという。 その事情は安倍も知っているはずなのに、それには触れずに、安倍が初めて見直し指示をするような格好にしたのだ。
 いかにも、衆院選惨敗を意識しての内閣浮揚のための演出ととられても当然の行為だ。何にでもすがろうとする足掻きだ、としか映らない。
 厚労省もこの安倍発言には戸惑っているし、裁判での勝訴判決の理由もまちまちで、そこから基準らしいものを抽出するのは難しいという意見もあるくらいで、簡単な問題ではなさそうである。
 安倍が本気なら、政府側の控訴を取り下げる、くらいのことは言わねばならないと思うが、それには触れていない点もリップサ−ビスの疑いが残るのだ。 
 「最後のお一人にいたるま年金問題は来年3月までに解決します」という安倍の発言も選挙が終わればダンマリだ。
 こういうリップサ−ビスの乱発で安倍は自滅の道への転落速度を加速させているのだ。 

 村上新八