イギリスに亡命し、市民権を持っていたリトビネンコ氏を刺客を差し向けて猛毒の放射性物質を用いて毒殺したとみられる容疑者ルゴボイの引渡しを要求した英国政府の行動は正当であると思う。
 この要求に応じないとして、駐英ロシア大使館にの情報担当の外交官を国外退去処分にしたことも理解できる。
 それに対してプ−チン政権は、反プ−チン活動を続けている英国籍の亡命ロシア実業家ベレゾフスキ−の引渡しに応じないとして、駐ロ英国大使館の外交官を国外退去処分にすることで報復しようとしている。
 これは、お互い様のように見えるがそうではない。リトビネンコにしてもベレゾフスキ−にしても、非合法的な手段でプ−チン政権の転覆を企てたわけではなく、言論で攻撃しているだけなのだ。それはロシア国内で野党がプ−チンを失脚させようとする政争となんら変らないのだ。それを抹殺しようとするプ−チンはその母体であるKGB丸出しの陰険な手口である。
 いままで、いくつもの気に入らない新聞社を国有化したり、何十人の反プ−チンのジャ−ナリストを抹殺してきた疑惑を持たれているプ−チンは、民主主義という仮面を被り、KGBという背後霊を背負ったスタ−リンの再現である、と言っても過言ではなかろう。
 村上新八