昨日は、香港で返還10周年を祝う祝典が行なわれ、胡錦濤中国主席も初めて香港を訪れ、式典での挨拶で「愛国」を強調した。
 当日、香港から香港政府の女性高官が来日、サンプロに出演して、「今日は祝典の傍ら、民主化を求めるデモも行なわれている」ことを述べるなど、香港での言論の自由の保障を強調していた。
 女性高官が、中国本土とは異なる「言論の自由」を強調すればするほど、中国本土ではいかに言論が統制されているのか、を鮮明にするようで、珍妙な場面であった。
 これでは同時並行で行なわれている「デモ」も香港政府の、一国二制度宣伝のための「やらせ」ではないか、と疑いたくなってくる。
 香港の政治制度は、議会選挙や行政長官の選任など、民主主義とは程遠いが、辛うじて「一国二制度」の形は維持されている。
 これは、台湾向けのパフ−マンスではないかと思う。香港が、「台湾でも香港と同様に『一国二制度』が保障されますよ、早く統一しませんか」との、台湾向けのディスプレ−の場になっているのである。
 逆に言えば、台湾が独立志向でいる限り、香港、マカオでの「一国二制度」は保障され続けるのであろう。
 村上新八