北朝鮮の金桂官外務次官がニュ−ヨ−クへ向かった。5日から始まる米朝国交正常化の作業部会に臨むためである。
 北朝鮮がまず期待するのは、「テロ支援国家」指定を解除してもらうことである。これに対して米国は、6者協議の決定通りに、寧辺の核施設の停止、封印など初期段階の措置を60日以内に実施することを要求することになるが、これに日本から釘を刺されている「拉致」問題の進展をどれだけからませるかである。
 「拉致問題は解決済み」という態度を取り続けている北朝鮮は、核放棄関連の約束履行だけで、「テロ支援国家」指定を解除することを要求するであろう。が、そのようなことになれば、安倍にとっては命取りになることは必定だ。
 先日も安倍首相は、拉致については何の進展もないのに、拉致被害者家族と面会した。これは、低下し続け支持率の下支え工作とも映るが、拉致被害者家族からも「拉致問題を政治利用するだけは止めて」という声も出始めている今日、米朝作業部会の成り行きは、安倍政権の命運を左右しかねない懸念材料である。
 村上新八