北朝鮮の核放棄へ向けた6者協議が北京で8日から再開される。
 事前の米朝協議で、何か進展が期待されるような報道があるが、素直には受け取れない。
 北朝鮮の示した譲歩というものの中身は、反故にされ踏みにじられた94年合意のレベルと基本的に変りはないからである。
 94年当時と現在では北朝鮮の核環境は大きく変わっていることは言うまでもない。核兵器を保有し、その実験のまでやっているのだ。この点を考慮すれば、少なくとも、核実験場の閉鎖や核計画の申告、再処理施設のへの立ち入りくらいは約束しなければならないはずである。しかるに、それらは拒否して、核開発には貢献していない寧辺の原子炉の稼動停止やAIEA査察の受け入れなどを条件に50万トン以上の重油や一切の制裁解除を要求するという、例の通りの厚かましさである。
 こんな約束さえもいつ反故にされるか分かったものではないのだ。北朝鮮とはそういう国なのだ。
 イラクやイラン問題で手こずってするアメリカとしては、面倒だから早く決着を付けたいということでもあるまいが、一時空手形を掴まされるという苦い過去があるのに、また二度も空手形を高く買うなどの愚はしないことを願いたい。
 村上新八