In article news:em7s8f$ml7$1@newsL.dti.ne.jp
 "Yuuichi Naruoka" wrote:

> 具体的には、例えば電力
> 1日分のバッテリー&2日で充電できる程度の太陽電池とします。そして衛星を
> 3基セットにして1日動かして2日休み(その間に充電する)でローテーションさせ
> ます。この場合当然衛星を3倍製造&打ち上げなければなりませんが、

 一基当たりの太陽電池を小さくして、逆にバッテリーの容量は増やすってことですね。
しかし、それだと全体の運用に必要な電力=ミッション機器+バス系×3。なので、
太陽電池は一基の場合よりバス系が三倍必要になった分増え、更にバッテリーの
充放電効率から一割ほど増えると思います。

 静止衛星であれば一基当たりのバッテリーの容量を十倍以上増やすことになるので、
質量は太陽電池の減少分を超えて増えるだろうし、放電深度を上げることはバッテリーの
サイクル寿命を縮めることになるので、実際には更に容量の増加が必要でしょう。


> ・ 製造コスト削減
>  太陽電池もバッテリーもかなり高価と聞きました。

 必要な太陽電池は一倍以上、バッテリー容量は三十倍以上、他の材料はほぼ三倍で、
製造コスト削減は不可能です。


> ・ 打ち上げコスト削減
>  充分小型&軽量化できれば、例えばペガサスロケットなどで低コストの打ち上げ
> が可能でしょう。

 軽量化も見込めませんし、きく8号を三基同時に打ち上げられるロケットは
日本にはないので打ち上げ回数が三倍になります。ペガサスロケットの
打ち上げ能力が百〜千倍程度あれば一基だけでも打ち上げ可能かもしれませんが、
たぶん低コストじゃなくなるでしょうね。


>  などの利点が考えられます。衛星の種類によっては最初から予備の衛星を
> 打ち上げるものもありますから、意外と実用的ではないかと思うのですが。

 三基が独立に稼動できれば寿命は伸びますが、バッテリーの問題を別にしても
部品数が三倍になるので、常時稼動させる場合は故障率が三倍になりますね。



※ 参考資料

衛星設計に関しては
    http://www.aero.osakafu-u.ac.jp/as/lab3/index.html
    http://www.aero.osakafu-u.ac.jp/as/lab3/Tokuron/main.pdf

上の資料でもかかれていますが。太陽電池と蓄電池のシステム設計に関しては
    http://www.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/contents/2005/TR200509.htm
    http://www.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/contents/2005/tr0509/0509sp2.pdf

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