犯罪被害者対応は振れの振幅が大き過ぎ
今までの刑事裁判では、加害者の人権やその更生を妨げないようにするとの配慮が過ぎて、犯罪被害者の心情に対する配慮が無さ過ぎたため、それを見直そうとしている。これは結構なことであると思う。
しかし、これについての、法制審議会「刑事法部会」の「被害者参加制度要綱案」は問題だ。
性犯罪などでの「被害者の情報保護」「公判記録の閲覧、謄写」損害賠償などの民事裁判、つまり「付帯私訴」との共通化などは良いが、「刑事裁判への参加」は問題だ。
これは、犯罪被害者が、法廷で検察官と同じ柵内に同席して、被告人に対する「情状面での尋問」が出来、「被害者論告」から「事実関係についての意見陳述」や法律で定められた範囲での「求刑」までやれるようにしよう、というものである。
「論告」「意見陳述」「求刑」となると、被害者であり、人間だから、必ず「復讐心」が露骨に出る惧れがあるのだ。
出廷するかどうかは、被害者が決められることになるのであろうが、進んで出ようとする人は、復讐心に燃えている人であろうから、この可能性は高いと思う。
犯罪につながりのある、検察官や判事は担当するのを忌避できる制度があるのは、このような弊害を防ぐためであるが、この精神に逆行するものである。
犯罪被害者の無視から過ぎたる高配慮へ、制度の振幅が大き過ぎるのである。再考を求めたい。
村上新八
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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