経団連が「10年ビジョン」なるものを発表した。「御手洗ビジヨン」とも呼ばれているから、御手洗会長の草案を経団連として承認したものなのであろうが、このなかで気になることがある。
「国を愛する心や国旗、国歌を大切に思う気持を育む」は「安倍教育基本法」に対するお世辞だとして見逃してもよいが、「教育現場のみならず、官公庁や企業、スポ−ツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を掲げ、国家を斉唱し、これを尊重する心を確立する」という点である。
 これでは、まるで軍国主義回帰だ。戦時中の憲兵、特高監視下での「国民総動員」時代を想起して、不愉快極まる。御手洗が個人として言うのなら自由だが、経団連として言うのは大いに違和感がある。
 「愛国心」を強制する前に「愛せる国」にすることが先決なのだ。「カネまみれ」「ギスギスした競争摩擦だけ」「親殺し、子殺し」「いじめ」「オ−ル痴呆番組」「官僚、政治家は悪の代名詞化」「ニ−ト、フリ−タ−、派遣などが溢れている」、こんなことが、本来的に誰でもが持っている愛国心を冷え込ませてるのである。こんな国を愛せというのが、そもそも無理なのだ。
 経団連としても「愛せる国」にするために、やれること、やらねばならないことは沢山あるはずだ。
 経団連としては、景気が回復してきたのだから、ニ−ト、フリ−タ−、派遣を正社員化することこそ最優先課題のはずだ。
 戦争を知らない爺様方よ、日本を「愛せる国」にするために、しっかりしなさいよ。 

 村上新八