IBM-PCに固有の話ではないんだし、
Followup-To: fj.os.ms-windows,fj.sys.mac
にしておきますね。

In article <061230163659.M0600468@XP.doga.jp> taka2@doga.jp writes:
>>  ディレクトリとフォルダは厳密には異なるようなのですが、フォルダの
>> 正確な定義を御存じの方がいませんでしょうか。
>元々、Windows では(UNIX→DOS→の流れで)「ディレクトリ」という用語を使って
>いました。ところが、Windows 95 が出たときに、Macintosh を真似て「フォルダ」
>という用語を導入したのです。
>それで「ディレクトリ」という用語が無くなったわけではなく、システム的な
>部分(APIなど)では「ディレクトリ」のままです。ユーザーから見える、Explorer 
>での表記だけを「フォルダ」に変えたのです。
(中略)
>というわけで、より正確を期すなら、
>・Explorer で「下の階層に潜ることのできるアイテム」が「フォルダ」である。
>・「ディレクトリ」はExplorer 上からは「フォルダ」として見える。
>ってところでしょう。
基本的には、この考えで良いと思います。
「ディレクトリ」はファイルシステムとしての“実装”レベルの概念で
「フォルダ」はユーザ操作環境(GUI)における“見せ方”レベルの概念
と考えれば、実際の用法を巧く説明できると思います。

言葉の意味から考えても、「ディレクトリ」は単に
「ファイルを識別する“名前”と、その実体との対応関係を管理する」
という“管理手段としての機能”を表しているだけで、
ファイルを「整理整頓する」という概念は、それ自体には含まれていません。
「ルートディレクトリ」とか「サブディレクトリ」とかいう概念を持込んで
複数のディレクトリを使い分けて、始めて「整理整頓」の考えが入ってきます。

#MacOS(9以前)でも「ディレクトリ」という用語を使っていますが、
#フォルダの各々に対応して1個のディレクトリが存在するという考え方ではなく、
#ファイルシステム(ドライブ単位)全体で1つのディレクトリだったと思います。

それに対して「フォルダ」は、元々シート状の書類を分類ごとにまとめて
挟み込んで整理する文房具のメタファとして命名されたものですから、
ハナから「整理整頓」のための概念ですし、
実現手法よりも使用目的を意識した命名です。

ですから、WindowsのExplorerにおいて
>ただし、細かいことを言うと、「フォルダ」が全て「ディレクトリ」であるとは
>限りません。
>例えば「圧縮フォルダ」。Explorer 上では ZIP ファイルは「圧縮フォルダ」として、
>その下に潜ることができます。このフォルダには対応する「ディレクトリ」は存在
>しません。Explorer 上にのみ存在する「フォルダ」なわけです。
>「デスクトップ」も、そういった実体の無い「フォルダ」の一種ですね。他にも、
>Explorer には、実体(ディレクトリ)の無いフォルダがいろいろあります。
という状況が生ずるのは、
「ディレクトリ/フォルダ」という用語の元々の意味から考えても
極めて自然なことだと言えるでしょう。

MacOS(9以前)のフォルダは「実装の実体」です。
デスクトップが特殊ですが、
ファイルシステムの実装としても特別な場所で管理されていました。
ところが、WindowsはMS-DOSのファイルシステム上で
Macintosh的なGUI環境を実現しようとしたために話が複雑になったんだと思います。
初期のWindows(3.1以前)では、
ディレクトリとは別に「グループ」という概念を導入したり複雑怪奇でしたが、
Windows95の段階(というか、WindowsNTからと言うべきか)で、
「フォルダ」と「ディレクトリ」の1対1対応を指向したようです。
ただ、それでもデスクトップの実体を
通常のファイルシステムの中の特定の場所に実装せざるを得ず、
そこから「フォルダ」と「ディレクトリ」の乖離が始まったんでしょう。
「マイコンピュータ」というアイテムをデスクトップに置いたことも
乖離を助長することになったものと思われます。
そして「圧縮フォルダ」の導入は決定的でしょうね。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp