死刑確定のフセインの処刑は見合わせよ
イラク高等法院の控訴審でフセイン元大統領の死刑が確定した。法令では確定判決から30日以内に執行することになっているが、ここは慎重に考えるべきである。
その理由は二つある。
第一は、この判決は、シ−ア派住民の虐殺を訴因とする「ドシャイル事件」に関するもので、数万ともいわれるクルド人を殺害した「アンファル事件」、5000人のクルド人を虐殺した「ハラブジャ事件」など10件に及ぶ事件の審理が終わっていないことだ。これらの事件の真相は是非明らかにすべきだからである。
第二の理由は、追放されていたフセイン統治時代の与党バ−ス党員の政府機関への復帰を認めるなど、スンニ派への懐柔策が始まり、融和に進もうとしている現時点で、フセインを処刑すれば、スンニ派を刺激する結果を招くことは必至で、それはイラクの内戦を一層激化されるだけだからである。
フセインの罪は万死に値するものであるが、その死刑執行は、高度の政治的判断に基づいて、慎重に考慮すべき問題である。
村上新八
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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