イギリスに亡命していたロシアの元スパイ、リトビネンコが猛毒の放射性物質ポロニウム210で毒殺された事件を捜査するためにロンドン警視庁の捜査官がモスクワに入った。この主目的は、リトビネンコが倒れる直前に面会し、英警察が重要参考人と目している元KGB幹部のルボコイに事情聴取を行なうためであった。
 しかし、ロシア検事総長のチャイカは、ルボコイは検査のために入院しているら、面会は出来ないと、これを拒否、その他の英捜査官が面会を求めている人物についても、「事情聴取はロシアの検察官が行い、英捜査官は同席するだけ」と述べているという。
 プ−チンは、「捜査には全面協力する」と言ったが、これでは疑惑隠しと思われても仕方あるまい。
 ロンドンでボルゴイが動いた場所及び利用した航空機のすべてからポロニウム210が検出されているのだから、彼がリトビネンコ毒殺に関わって疑惑は濃厚なのだ。
 更に、この事件に関して、ロシア内務相は「これは不可解な事件ではあるが、政治問題とはしないで忘れてほしい」というような発言さえしているのである。
 このような発言を聞くと、リトビネンコ事件はロシア政府のやった組織ぐるみの毒殺であると思わざるを得ないのである。
 ポロニウム210という、関係者でなければ入手できないし、専門知識がなければ取り扱いも出来ない猛毒物を使った事実といい、ロシア政府の態度といい、ロシア政府の自作自演であることは明らかだ。
 更に、5日には、ロシアのガイダル元第一副首相も原因不明の重態に陥り、医師団は、毒を盛られた疑いがある、と述べているという。
 反プ−チンジャ−ナリストの抹殺はプ−チンの常套手段だったが、ここまでやるプ−チンは悪魔だとしか言いようがない。
 村上新八