ネタばれあります。

梶尾真治のクロノス・ジョウンターものを読んでいたら、無性に「たん
ぽぽ娘」を読みたくなって、調べたら数年前のSFマガジンに再録されて
いたので、図書館に行って読んできました。

たとえていうと、甘さ控え目のチョコレートって感じでしょうか。甘い
けど、しつこくはないし、おなかいっぱいになるほどでもない。これに
比べると「夏への扉」は、ケーキ食べ放題みたいなもんかも。

帰ってきてから、久しぶりに「ジェニーの肖像」を引っ張り出してみま
した。これだけちょっと雰囲気が違うんですな。SF的な描写はないし、
ハッピーエンドじゃないし。年代的に一番古いせいか、「扉」はもちろ
ん「娘」よりさらにスケベ風味は薄いし。ヒロインの初登場時の年齢は
「扉」以下だと思うけど、「ジェニー」なら人に勧めてもロリコン扱い
されないかも。そういえば、萩尾望都の短編にこれの主人公ペアの性別
をひっくり返したのがあったな、とか。そんなことを思い出したり。

いずれの作品も、いわば「私が大きくなるまで待っててね」テーマとい
うか、少なくとも一部にはその要素を含んでいるわけですが、洋の東西
を問わず、けっこうみんなそういうのが好きなんかなあ、とか。

ところで、前記のSFマガジンの「たんぽぽ娘」には、梶尾真治による作
品紹介が添えられていたのですが、実は、作品本編よりこっちのほうが
傑作でした。主人公の男が自分の奥さんの若い頃の顔を覚えていないこ
とにツッコミを入れたあと、きっと、作者は自分の奥さんの顔を見て、
「ああ、昔はもっときれいだったのに」って思ったんだろうな、って。
ちょっとシャレにならんぞ。この作品も「夏への扉」同様、わりと取り
扱い注意かもしれないと思ったりして。
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AMAUMA