このところ自民党で、おかしな放言や党内のぎくしゃくが相次いでいる。
 発端は中川政調会長の「日本核武装論議必要論」だが、これに麻生外相が「タイムリ−な発言だった」として賛同するかと思えば、下村官房副長官が、従軍慰安婦に対する河野談話の根拠を疑う発言をする。その傍らで、昨年の郵政民営化に反対して、除名された自民党議員の復党を図る動きに対して、刺客として当選した新議員が結束して反対表明をするなど、党内結束の緩みを示す兆候が続発している。
 これに対して安倍の態度は、曖昧なままである。中川、麻生、下村発言については、一議員としての発言だから問題はない、と答えているし、造反議員の復党に大しても曖昧な姿勢を続けている。
 中川、麻生、下村はいずれも、党幹部あるいは内閣の中枢にいる人物である。彼らの発言は一議員の発言としては受け取られないのだ。
 非核三原則の国是に反する発言、あるいは閣議決定事項に反する発言として、たしなめるべきなのだが、それも出来ないのは、自分自身がそう思っているからに他ならない。
 中韓との関係改善との関係で、口先と腹のなかでは180度違う安倍は、総理としては言ってはならないから、言えないことを、周辺に言わせて国民の反応をテストしてみているか、とさえ思われる。それほど策略家だとは思われないが、野党に対する攻撃材料提供サ−ビスになるだけであることは確かであろう。
 村上新八