自民総裁選は、安倍当選確実の予想だが、海外論調を見る限り、小泉外交で行き詰った外交関係が好転する見込みはほとんどないことが窺われる。
 中国政府は、冷え切った対日関係を打開しようと動き始めているという学者や外交専門家筋の観測もあるが、靖国参拝にも村山談話の継承にも曖昧なまま、改憲を強調する安倍の姿勢では、中国政府が日中友好促進への方針転換を考えたとしても、それを中国国民に納得させることは難しいと思う。
 中国の新聞でも安倍に対しては「タカ派」「改憲論者」などの形容詞を付けて報道しているのである。
 韓国も、これに加えて、安倍の北朝鮮に対する強硬姿勢を懸念して、日韓改善に対する期待は完全に消えている。
 ドイツでは、安倍の、東京裁判に対する、歴史家の判断に待つ、などの発言を捉えて「ホロコ−ストを否定するイランのアフマデネジャド大統領に似ている」とまで言われているという。
 安倍が頼りにするアメリカでも、新聞での安倍の形容詞は「タカ派」「強硬派」と、中韓と変わりないし、第一次大戦を経験した上院議員は、公聴会でもこぞって日本の総理の靖国参拝を批判しているのである。
 そればかりではなく、東アジアで日本が村八分の状態になってしまい、アジアの指導権を失っていることに苛立ちを見せているアメリカ政府は、ますますその苛立ちを募らせることになるであろう。
 ポスト欲しさだけで、安倍に擦り寄る自民党のバカ議員どもは、この反国益現象は気にならないのであろうか。
 村上新八