イスラエルの、民間人を巻き込んだ度を越したレバノン攻撃は世界の非難の的だが、これに対して、国連の出した2度の議長声明も「衝撃」とか「悲しみ」の言葉はあるものの、これを非難するものではなかった。米国の反対があったからである。
 米国のこのイスラエル贔屓の姿勢は昔から一貫しているのだ。米国はイスラエルに都合の悪い決議が提案される度に拒否権を発動してきたのだ。
 イスラエルはこの米国の後ろ盾をよいことに、48年の「パレスチナ難民の帰還か補償」の国連決議、67年の「イスラエル軍の占領地からの撤退トアラブ諸国のイスラエル承認」の安保理決議など、沢山の決議を無視してきたのである。これらが、イスラム過激派テロを惹き起こす要因となったものである。
 当初は70万人であったパレスチナ難民は、イスラエルの占領地から追い出されたパレスチナ人の増加で、現在は400万人にも達している。明日の明るい見通しも希望もなく、イスラエルに対する怨みを晴らすしかない彼らがジハ−ドを敢行してアッラ−に召されたいと考えるのも無理はないのかも知れない。それがイスラム過激派テロの原点なのだ。
 このすべての禍根は米国とユダヤにあるのだ。それは丁度アメリカとユダヤがマッチでテロの火をつけ、自分がつけた火をポンプで消そうとしているようなものである。
 村上新八
 村上新八