英国の警察は10日、イギリス発アメリカ行きの旅客機10機に爆発物を入れた手荷物を持つ乗客を搭乗させ、飛行中に爆破、墜落させるという途方もないテロ計画を察知し、容疑者21人を逮捕した、と報じられた。よく探知できたものだと思う。
 そのため、夏季のバカンス客で混雑しているロンドンのヒ−スロ−空港は大混乱。乗客は、財布、旅券、航空券以外の手荷物の機内持ち込みは禁止されたという。
 犯人はすべてパキスタン系英国人でイスラム教徒だというが、とてつもなく、恐ろしい事件である。もし、これが実行されていたら、9.11以来の大惨事になったであろう。
 イラク、アフガン、パレスチナ、レバノンと中近東は紛争の連鎖地帯化し、イスラエル寄りのアメリカの頑なな姿勢が世界中から批判されている最中であり、この時期にこういうテロが計画されたということは、アメリカの中東に対する姿勢批判という根深い示唆を示しているものと思う。
 関係者のなかには、テロ計画には時間が掛かるから、現在の中東問題とは無関係だと言う意見もあるが、テロというものは日ごろから準備され、その実行は暗号指示によってすぐできる、仕組みになっているから、今のアメリカ批判と思いたくない人の意見であると思う。
 それにしても、機内持ち込みの手荷物もチェックされているのだから、セキュリティチェックの探知装置では探知できない爆薬であったのであろう。このような新手のテロ戦術はいくらでも工夫できるのだから、探知能力や手荷物禁止くらいでは防止はできまい。自爆覚悟のテロ犯人なら、自分の体内に爆薬を仕込むことも辞さないであろう。そうなればお手上げである。
 たとえば、イスラエルが全占領地から撤退するなどのテロの根源を絶つような政策を断行しなければダメである。
 村上新八