ついに死者が800人を越えたイスラエルのレバノン攻撃に対する国連安保理の停戦合意案がまとまった。この案に対してレバノンは直に修正を要求している。
 その第一の理由は、アメリカのごり押しでイスラエル寄り過ぎるからだ。ヒズボラに対しては「全攻撃の停止」を求めているのに対して、イスラエルには「攻撃的な軍事作戦の停止」に限定している点だ。これでは、イスラエルが自衛的軍事作戦だと称してやれば、いくらでも攻撃できるからだ。
 第二に、合意案では、レバノン側への要求が8割を占めているという。停戦は双務的なものであるべきで、公平性と平等性を欠いてはならないはずである。
 第三に、イスラエル軍のレバノン領内からの撤退を明記していない点である。これはイスラエルの占領を容認することになり、レバノンが認めるわけがないのである。
 この案は、フランスの原案をアメリカが修正させて、まとめたものだというが、こんな不平等停戦案ではレバノンが呑むわけがない。
 米国としては、世界世論の非難の矛先をかわすために停戦案は作ったが、ヒズボラ叩きの時間をイスラエルに稼がせるために、レバノンが拒否するに違いない案に仕上げたのだ、と思われても仕方あるまい。それがアメリカの本音なのであろう。
 村上新八