国連安保理が行なった、北朝鮮のミサイル発射非難決議、イランの核開発に対する警告決議、イスラエルの非人道的なレバノン攻撃遺憾決議、いずれも中途半端なものであった。
 北朝鮮は、中国、ロシアの後ろ盾をみこして、これを拒否したし、イランは、この決議に対する回答はまだだが、エネルギ−問題で親密な中国、ロシアがいるから、経済制裁にまでは発展すまいとたかを括ってこれを拒否し、NTP加盟の一事休止さえも打ち出す可能性が高い。また、アメリカがヒスボラ殲滅を期待していることが分かっているイスラエルは、48時間の戦闘停止が終わったら、攻撃縮小どころか、逆にレバノン攻撃を拡大する準備をしているという。
 このように、大局観のない安保常任理事国が、それぞれ目先の利益や関係国への思惑に振り回されて対応している結果、国連決議が次々とないがしろにされ続けるのである。このことは、国連の権威の萎縮と国連機能不全の進行感を世界に与えることになるのだ。
 これは、新しい国連の危機である。
 村上新八