国連の運営は民主的とは言えない
国連総会で多数決で決議されても、安保理事会で9カ国以上の賛成があっても、常任理事国の一国が拒否権を発動すれば、反故になってしまう。これはどう考えても、多数決で物事が決まる民主的なル−ルとは言えない。
国連が創設された統治はソ連圏と自由諸国が対立する冷戦期の最中であった。この冷戦はイデオロギ−の対立だから、事々に対立していた。しかも常任理事国の構成比率ではソ連圏が2に対して自由諸国圏が3だから、多数決ではソ連圏は常に負けることになる。これでは旧国聨のように、脱退国が生じかねない。そこで常任理事国には拒否権を認めようということになったのであろう。
世界における民主主義の伝道者のように振舞っているアメリカも、この非民主的な60年前のル−ルを変えようとはしないのだ。アフリカ、中央アジアなどの加盟国が増えている現在では、米国は、特にユダヤ関連の問題では多数決を否定できる米国発動の拒否権に頼らざるを得ないからである。
しかも、イラク進攻のように、どうしてもやりたい場合には、「単独行動主義」で動くという超大国としての奥の手もあるから、都合のよいときだけ国連を利用すればよい、という気安さがアメリカにはある。だから、民主主義の伝道者米国も、この非民主的な制度を温存させておくのである。
しかし、この拒否権のために国連機能の権威が著しく低下していることも事実である。
イスラエルに対する非難決議に対してアメリカが拒否権を発動する、その見返りとして、日米共同提案の北朝鮮制裁決議に対して中国が拒否権をちらつかせる。こういう不正義が罷り通るのが今の国連なのだ。
村上新八
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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