アジア太平洋諸国24カ国から国防、安全保障担当の閣僚等が参加して開催された第五回の「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアロ−グ)」が2−4日シンカポ−ルで開催された。
 この会議は5年前に始まったもので、マラッカ海峡の海賊対策としての「共同パトロ−ルや航空機による監視」や「自然災害自の連携救援体制などでは成果を上げており、アジアの安全保障進展のための会議として期待が持たれる。
 しかし、今回の会議では、中国の不透明な軍事力増強や災害時連携の問題、日中韓の歴史認識の解決要望などに視点が集中したほかは、各国が自国の立場を説明するに終わっている。
 アジアには、北朝鮮の核開発やミサイル問題、台湾海峡問題、独占的経済水域の問題、日本、韓国、フィリッピンなどの米軍基地問題など地域の不安定化を齎す問題が少なくないが、それらは議題には上らなかったようである。
 触らぬ神に祟りなしで、関係国に遠慮して触らなかったものであろうが、これらの問題を抜いて話合いをしてみても安全保障推進の意味は激減するのである。
 無難に、やれることからやろうというのも分かるが、5年も経つのにこの有様では、いつまで経っても、やらないよりまし、の域を出ないのではなかろうか。
 村上新八