安倍普三は、28日のサンプロでの森前首相の、ポスト小泉選での森派の雰囲気としては普三が優勢との話に気をよくしたか、29日の記者会見では総裁選での対抗馬、福田康夫を批判していた。これは明らかに総裁選を意識した前哨戦である。
 福田が小泉の靖国参拝問題について「トップ同士も国民も互いに感情的になる状況は最低だ」と発言したことについて「対話を死体と言う総理の態度は決して感情的ではない。極めて理性的な対応だ」と批判したのだ。
 しかし、福田が指摘したのは、「対話云々」ではなく、「国のために命を捧げた兵士を慰霊するのがどこが悪い」とか「いまにきっと後悔する時がくるよ」とかの小泉の発言なのだ。これは明らかに感情的であり、外交発言としては不適切なものなのだ。
 これを捉えての前哨戦的批判は見当違いも甚だしいと言わざるを得ないのである。
 普三は福田の支持率急追が気になって仕方がないのであろうが、内閣としての広報の席である官房長官記者会見の場で前哨戦を展開するのはまずいのではないか。
 村上新八