政府与党は、現在の教育基本法を改正して、愛国、道徳、伝統などの項目を掲げようとしている。この改正法案は今国会中に提出、可決すると言っている。
 「愛国」問題については、戦前の愛国思想に逆戻りの懸念を持たせるとか、国というものに現在の政権というようなイメ−ジとして受け取られないようにすべきだとかの議論の末に、「愛国」と言う言葉を避けて、「国、郷土を愛する」というような表現に落ち着くようだが、これは表現をどうこうするというような小手先の問題ではない。問題は、日本が本当に愛される国か、ということだ。
 「子は親の言うことを聞かないが、親のする通りにする」という言葉があるが、政治や行政が利権や省利省益、私益確保のために出鱈目のことをやっていれば、子どもはそれを見ているから、とてもそんな日本を愛する気にはなれないであろうし、「オレもそうやっていいんだ」という気にもなるであろう。
 教育基本法に書いたからそうなるというものではない。こんなことを書けば、東京都のような、国旗、国歌の強制姿勢を更に強化させることに拍車を掛けることになるのが関の山だ。
 政治家、官僚が姿勢を反省し、カントの言うように、「汝の行為の格率が普遍的原理の格率となるように行動」することこそが先決なのだ。
 村上新八