今国会の目玉は「行革推進法」だと小泉は思っている。この目標は10年間で国家公務員の5%を削減しようというもので、民間では行なってきたバブル崩壊後のリストラと比べたら、全く大した規模ではない。
 この程度のことなら、自然退職を補充しないだけで、すぐにでも達成できる数字だと思う。
 しかし、この「行革推進法」には早くも暗雲が漂い始めたという見方がある。
 「各省が一致協力して達成するように」と閣議で言った小泉の舌の根も乾かないうちに、法務省からは、看守の定員削減は不可能だとして削減対象から外してほしいとの要求が出て、それが通ったのだ。このようなことを認めれば、前例が出来てしまい、いたるところから除外要求が出ることは必至なのだ。
 これは、BSEやライブドア、防衛施設庁の談合汚職などの問題発生で小泉の求心力が落ちたためだという観測もある。
 しかし、それだけではあるまい。行革問題は、郵政民営化と違って、誤魔化しの劇場総選挙で民意を問うて、反対派を押さえつけるという小泉手法は通用しない、選挙という洗礼もなく、省益と私益第一の官僚相手の問題だからである。
 官僚は既に「レ−ムダッグ」化した小泉の退陣までのらりくらりと時間を稼ごうとしているのだ。
 村上新八