天皇継承問題の情報の提供です。

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私は宮内庁に勤務する職員、すなはち内閣府事務官であります。

            このところ、皇室典範改正の是非についての意見が政治家
            から相次いでいますが、宮内庁内において極めて憂慮すべ
            き事態が起きております。

            内部告発のような形となることの非礼は承知しておりますが、
            迷いに迷った末、敢えて文書にしました。 匿名でなければ
            申し上げられない状況にあることもお察しください。

            宮内庁では、女性天皇及び女系天皇を認める皇室典範改正が
            いかにも當然の流れというような雰囲気が漂っていますが、
            決して宮内庁内部が一枚岩ということではありません。

            昨年末も、ある者が内部の会合で、小泉首相をトップとする
            現在の官邸主導の動きを暗に批判したところ、羽毛田長官が
            別席で厳しく叱責するという事態が起きました。

            また、長官の直属の幹部は 「陛下に迷惑をかけることになるぞ」
            と半ば強迫めいた言動でこれを撤回せよと迫りました。 
            この人物は4月人事で左遷させられるのではないかと見られて
            います。

            しかし、現在の動きに疑問を持っているのは少数ではありません。
            いわば官邸 = 羽毛田長官という密接な連携の中で、まっとうな
            意見が言論封殺されている状況です。

            しかも、 「これは陛下のご意思である」 というような正に
            偽装された 「事実」 が、今日の流れを作り出しています。 
            侍従職の関係者に聴いても、決して両陛下は、政府が提出し
            ようとしている改正案に賛成されているというわけではありません。

            陛下は、 「国民の声をよく訊いて、人々が望むならそれでいい」
            「よく研究して、なるべく早く結論を出すのが望ましい」
            とは話されていますが、それ以上の発言は一切ありません。

            官邸 = 羽毛田長官は、陛下が仰せの 「国民の声」 を
            「内閣府の世論調査」 の結果に依拠し、 「なるべく早く」を
            「国民的人気のある小泉政権の手で」 と都合よく解釈して
            いるにすぎません。

            従って、宮内庁の慎重派の意見は、羽毛田長官からは陛下には
            一切報告されておらず、官邸サイドの情報だけが上奏されて
            いるのが実情です。

            現に、陛下は側近に対して、「政治家はあまり歴史を知り
            ませんからね」とか、有識者会議のメンバーについても
            「政治家が選んだのでしょう?」と尋ねておられます。

            これだけでも、現在、陛下がどういう状況に置かれている
            かがわかると思います。 寛仁殿下の各種マスコミでのご
            発言についても、陛下は決して怒ってはおられません。 
            むしろ、女系容認が既成事実化していることを憂慮しておられ、
            政治家の横暴を糾す援軍と考えておられるようです。

            ただ、皇族が政治的な発言をすることを憂慮されている
            だけであって、これを逆手に羽毛田長官らは、寛仁殿下
            のご発言について、宮務課や宮内庁幹部ばかりか新聞記者
            に対しても 「あんなのは無視すればいいんです」 と極めて
            不敬な発言を繰り返しています。

            先日の週刊新潮 (2月9日号) に、自民党の武部幹事長が、
            典範改正の内容について 「陛下の意思」 とし、ある皇族を
            ご落胤だと発言したことが記事になっていましたが、この記事
            は翌日、側近から陛下のお手元に届けられています。

            これに慌てた羽毛田長官が、これを否定する (武部さんは
            言ってないとの) ご説明をしたようですが、なぜ自民党の
            幹事長の発言の是非を宮内庁トップが説明する必要がある
            のでしょう。

            官邸からの指示としか考えられません。 武部幹事長は
            1月中旬、宮内庁OBに対し、法案提出に関して、 「細田さん
            (前官房長官) が言っていたが、陛下は容体がよくないらしい。 
            とにかくいそがなくちゃならんよ。 内容なんかどうでもいんだ」
            とまで言っています。

            こうした不敬極まりない虚偽の事実を根拠にした発言が
            平然となされていることは恐ろしいことです。

            どうか、拙速な結論を出して禍根を残さないよう、良識ある
            国民の皆さま、政治家の方々のご尽力をお願いいたします。

                         平成18年2月 宮内庁内閣府事務官

            http://www.rondan.co.jp/html/mail/0602/060206-9.html