政府は、05年末で、明治以来増加を続けてきた日本の人口が1万人の減少に転じたと発表した。
 が、こんなことは、20年以上前から分かっていたことだ。この間有効な手は一つも打たれなかった。
 少子化は先進国では共通の悩み。先進国で人口が増えているのは唯一アメリカだけ。これもスパニック系や黒人系の出生率が高いためで、白人系は他の先進国と大差はない。
 日本の出生率が低くなったのは、女性の社会進出で、女性自身が仕事の面白さと独身の自由の好さを覚える反面、子育ての煩わしさや子供を育てても、家庭内暴力や少年犯罪などの激増で子育ての自信をなくしたことも一つの要因としてあげられる。
 また、決して充実しているとは言えないものの、社会保障制度が老後の支えとなっているから、子供に老後の面倒を見てもらうという期待がゼロに近くなったために、「子宝」と言う言葉が死語になっていることからも分かるように、「子宝」概念が消えさってしまった要因が大きいと思う。
 政府は、児童手当支給年令を引き上げるなどの手を打とうとしているが、少子化の勢いに歯止めを掛けることはできまい。
 とすれば、日本の労働力減を食い止めるためには、今からでも他国からの移民の受け入れでも考えるしかあるまい。これもフランスのように、差別化問題を引き起こさないような配慮をした上での話である。
 村上新八