北朝鮮で軽水炉原発の建設を続けてきたKEDOは理事会で事業廃止を決定した。当たり前のことである。
 が、北朝鮮は、これに反発して「米国はKEDO事業の根拠となる米朝枠組み合意を完全に破壊し、我々に莫大な経済的損害を与えた」と非難し、「我々は枠組み合意を完全に覆した責任を問い、政治経済的な損失に対する補償を要求するだろう」と述べた。
 KEDOが廃止されたのは、そもそも北朝鮮が94年の米朝枠組み合意に違反して、隠れて核開発を行い、核兵器の保有さえも公言するという重大な背信行為を犯したことによるものである。
 そんなことは世界が知っているのだ。すべての責任は北朝鮮の背信行為にあるのである。その自分の背信行為をわきにおいて、補償請求とは図々しいにもほどがある。
 KEDOの軽水炉建設には、日米韓がすでに多額の費用を支出しているのだから、日米韓三国は、北朝鮮の契約違反を理由として、逆にその支出済み費用の返還要求権さえあるはずなのである。
 悪事を咎められて、逆に喰って掛かることを「盗人猛々しい」というが、北朝鮮の発言はまさにこれである。
 北朝鮮は何でこれほど不信を上塗りしなければならないのか、理解に苦しむ。底知れぬ「ならず者国家」北朝鮮である。
 村上新八