戦後60年を過ぎていまだに5万もの兵員の米軍駐留を許している国は日本だけである。この駐留は、日本を守り、北東アジアの安定のためと言う名目だが、これはうそである。
 オ−ストラリア政府が昨年末撤退する英軍の代わりに、サマワの自衛隊を守るために、国内の反対を抑えて軍隊をサマワに派遣したのは、自衛隊を守るための措置として素直に納得できる。日本はオ−ストラリアの最大の貿易相手国だからという理由である。
 しかし、米軍の日本駐留は納得できない。日本を守るために日本各地に米軍基地を置く必要はない。日本は米国に次ぐ軍事費を使っている国なのだから、北朝鮮の核の脅威を除けば怖いものしないのである。もし、北朝鮮の核に対応するならイ−ジス艦の3隻も日本海に置けば十分なのだ。
 それは口実で、米国はアジアから地中海に及ぶ「不安定の弧」を睨み、中国を牽制するための戦略的配置として日米同盟に乗せて日本に米軍を駐留させているのである。
 しかし、このことによって、却って中国の軍備を拡大させ、アジアの安定を害する結果になっていることは明白である。
 日本の米軍駐留は、それによる基地関連住民の多大な迷惑だけでなく、中国を刺激し、アジアにおける不安定要素を不付加するというリスクを犯しているのである。
 村上新八