小泉さんの靖国参拝に対して中国の反発は予想を上回るものであった。町村外相の中国訪問は拒否され、中国で開催予定の日中関連行事、「青島ジャパネット・ウィ−ク」「谷村新治交流会」「日中友好イベント」などが中止を通告された。
 小泉靖国参拝可否の世論調査は、このような中国の反発の動きが伝えられる前に行なわれたせいもあるが、賛否は42、41%と二分された。賛成の理由はその59%が「それほどのこととは思わないから」というものであった。しかし、この中国の反発は、「それほどのこと」以上なのだ。これで中国政府と民衆は、日本人の半数は、歴史認識に欠けているとして、憎悪と嫌悪を深めるであろうことは確実になったのだ。
 官邸はこの世論調査の結果に安堵し、自民党内では賛成意見が広がっているという。まともな政治家なら、愚民の世論に安堵するよりも、対近隣との外交関係の危険な行方を懸念すべきなのではないか。
 靖国問題で譲歩すれば、中国は更に難題を突きつけるだろうから、意味はない、という意見もある。東シナ海のガス田問題や尖閣列島問題を言うのであろうが、相手に理がある靖国問題などの棘を残したままにしておかないほうが、日本としては交渉は、はるかにやりやすくなることをも考えるべきである。それがディプロマテッィクセンスというものである。
 村上新八