戦後の日本経営は、すべて米国経営の真似をしてきたと言える。
 戦後間もなくのSQC(スタティカル・クォリティ・コントロ−ル)から始まり、IE(インダストリアル・エンジニァリング)PM(プロタダクション・メンテナンス)、目標管理等などすべてアメリカからの輸入経営技術であった。
 当初は、それらは日本に根付かなかった、そのまま日本経営に移植しようとしたからである。
 しかし、日本人の良さは、それらを日本の経営風土に合うように、日本化したことである。時間は掛かったが、いつの間には日本化することによって体質化してしまったのである。
 その日本化とは、現場や現場作業者のなかに溶け込ませる形で吸収したのである。
 日本の現場作業者は、優秀である、技能だけでなく、改善意欲も高いから、改善手法の基礎教育をやれば、改善力の一翼を担えるのである。終身雇用制のお陰で会社に対す帰属意識が高いことも幸いしたのである。
 それがアメリカの管理技術を現場と一体化し得た所以であると思う。
 その結果できたのが、世界後となった「カイゼン活動」であり、「小集団活動」「ラインとスタッフが一体となった改善活動」であったのだ。トヨタ自動車の繁栄の秘密もその「改善の持続」にあるのである。
 勿論、アメリカ輸入のすべての管理技術が日本化されたわけではない。だめだと放棄した技術もある。「ゼロベ−ス」や「リエンジニアリング」がそうである。
  今また、アメリカの真似をした「成果主義」が見直そうとされている。従業員のやる気を引き出そうして導入されたシステムが、逆に上司と部下、同僚との心理的な摩擦を引き起こし、やる気を阻害させている、と言うのである。
 このような従業員の不満ややる気のレベルを測定することを商売ににする大手の保険会社まで現れている。 この原因は、目標設定の厳しさや成果評価に対する不満だけではないと思う。チ−ムワ−クを得意すとする日本人の特性にアメリカ流の個人主義的に手法がマッチしなかったためであると思う。 この成果主義の見直しで、そこに気が付けば、いずれ、それをより日本の人的風土にマッチさせた日本化されたシステムとして同化させることができるのであろう。それを期待したいと思う。 村上新八