まさに王者の風格で巨人を一蹴。そんな表現がぴったりの試合展開で、2年
ぶりのセ・リーグ優勝を地元甲子園で決めてくれた。

優勝決定試合の持つ独特の雰囲気を感じたのは92年のヤクルト戦以来。
ただ、1敗すれば終わりというあのときの悲壮感とは比べものにならない
心地よさを試合開始から味わっていた。金本の先制打で優勝を確信し、後は
最後の瞬間までの試合をじっくりと堪能する、こんな贅沢がほかにあるだろうか。

73年以来、甲子園で巨人に勝って優勝を決めるという想像(妄想)をずっと
頭に描いてきた。金本の先制打で数時間後にそれが現実のものになろうと
した時、最後をどんな気持ちで迎えるのかまったく想像できなかったのだが、
あろうことか最後の最後に久保田劇場の上演。久保田の乱調が上がりすぎて
いたテンションをええ具合に落としてくれて、意外なほどにアッサリとした最後と
なってしまった。
まあ全部ひっくるめて今季を凝縮した試合、実に久保田らしい締めくくりだった。

それでも岡田監督が宙を舞った瞬間、球児が前日の予告通り人目を憚らず
号泣している場面などを見るとやはり感動してもらい泣きしてしまった。優勝の
喜びに慣れという言葉はない、ということだろう。

昨季はリーグ優勝を引き継いだ翌年ということもあり、大掛かりな改造はやはり
できなかった、岡田監督にとってはまさに満を持して迎えた今季の布陣だった。
優勝後の検証ではこの布陣を「適材適所適時」と表現している番組が多いが、
もちろんそれも踏まえた上で、成功の最大の要因は岡田監督の「頑固さ」に
尽きる、と思っている。そうでなければ久保田と藤川はとっくの昔に入れ替わ
っていたことだろう。

そしてあの9.7でタイガースは完全に岡田阪神となった。
岡田監督、スタッフ、選手そしてファンの皆さん本当におめでとう、そしてあり
がとう。

あとは日本シリーズのリベンジという大仕事が残っている。
もちろんソフトバンクを倒して真のリベンジということになるが、千葉ロッテに
しても西武にしても相手にとってまったく不足はない。そして今度こそ久保田が
完璧に抑えて、今季の集大成を迎えることができるだろう。

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Takachan
takatsuka@k3.dion.ne.jp