来月の憲法草案の投票を控えてイラクの
混乱状況は変わっていない。新たに女性の自爆テロも現れたという。パレスチナでは、女性の自爆テロは珍しくもないが、イラクでは新顔である。これは推測するに、イラクの混乱のなかで、家族を殺されて、先行きに全く絶望してしまった女性ではないか。
 その一方では、スンニ派地区では、アルカイダ系やザルカウイ系の武装勢力と地元の部族系との衝突も発生しているようだ。この地区にはイラク警察権が浸透していないから、その詳細は分からないが、政治プロセスが着々と進んでいくなかで、スンニ派だけが蚊帳の外で、取り残されることになるという焦燥感が起き始めている兆候とすれば、歓迎すべきである。
 ザルカウイもアルカイダも、十分戦った。しかし、これ以上抵抗しても、庶民の犠牲と街や家の破壊を増やすだけで、アメリカ軍が駆逐されるわけでもない、とスンニ派の民衆が悟り始めたとしたら、そのときはザルカウイもアルカイダも終わりである。
 米軍に追われて、逃げ回りながら抵抗を続けていくためには、民衆の支持が必須のものだからだ。
 米軍は、このような変化の兆しを見て、これを攻撃のチャンスと考えないほうがよい。 

それは結局民衆の犠牲を増やし、民衆からの憎悪を買うことになるだけだからである。 

 米軍は、政治プロセスの進行が妨げられないように、警備するだけでよい。このような「熟柿」指向に転換すべき時期なのかもむしれない。
 村上新八