20日、6者協議はなんとか合意にはこぎつけた。
  核の平和利用の道を是が非でも残したい北朝鮮が、日米韓の支援による軽水炉型原発建設を適当な時期に協議する、という妥協案の受諾に同意した結果である。
  これは筆者が本欄に9月6日に投稿した線にほぼ一致している。
  この合意は、ホスト国中国の北朝鮮に対する圧力が功を奏した結果であろう。 しかし、これで手放しで喜べるということでは決してない。北朝鮮は核兵器と開発計画の放棄、NTPへの復帰、AIEAの査察受け入れを承諾してはいるが、その時期については明確にしていないのである。この時期をめぐって、エネルギ−や食糧の支援、米朝の国交正常化などの交換条件の実施に絡めたややこしい交渉がこれから始まるのである。
 したたかな北朝鮮のことだから、これからひと揉めもふた揉めもするであろう。
 さらに、北朝鮮の危険な隠し玉、温存カ−ドとも見られる濃縮ウランの問題、ミサイル問題は依然不透明なままだし、北朝鮮の圧政に苦しむ庶民の人権問題もそのまま残されている。日本との関係では拉致問題も大きく立ちふさがっているのである。
 これらの諸問題の解決も容易なことではないはずである。
 日米にとっても、北朝鮮にとっても、これからが正念場である。絶対に油断はできないのだ。
  村上新八