内政では、小泉政権の構造改革はすべて失敗に終わることは明白だ。辛うじてなんとかやれたのは「不良債権削減」だけ。
 小泉氏は、「今まで歴代総理が誰も手をつけなかったことをオレはやろうとしたんだ」と胸を張るだろうが、国家が破綻に瀕している状況にあったのだから、とんな総理でも、やることは決まっていたはずである。
 それをすべて「端っこをかじった」だけに終わらせてしまったのは、小泉戦略の失敗であり、空回り人気と巧みな愚民視的政治テクニックに惑わされて、高い支持率を与えた有権者の不明と言わざるを得ない。
 外交に目を移せば、北朝鮮に拉致を認めさせただけである。が、金正日は拉致問題はいつまでも隠しおうせることではない、と判断して、拉致の切れ端を投げてよこし、それでチョンにするつもりであったのだ。それでは成功したとはとても言えない。
 そのほかは、ブッシュ追随外交オンリ−で、世界からは、侮蔑の目を向けられただけ。国連安保常任理事国入りに失敗するもの当然なのだ。
 とりわけアジア外交では中韓との関係が冷え切ったまま。総理在任中に一回も中国との首脳交流がなかったのは小泉氏のほかにはいないのだ。
 中国は共産党一党独裁の国であるからこそ、首脳外交が、国益問題ばかりでなく、国家間のすべてに決定的な重みをもっているのである。それにも拘わらず首脳交流がないというのは、それだけでも総理欠格と言わざるを得ない。
 小泉氏は、交流はありましたよ、と言うであろうが、それは国際会議での「挨拶」であって、これは首脳交流とは言えない。
 特に日本の貿易額でアメリカを抜いてトップに立つ中国との「経熱政冷」現象は、すべての面で、じわじわとマイナス影響を強めて来るはずである。2008年の北京オリンピックまでは、反日デモも規制されるであろうが、オリンピックが終われは一挙に噴出すのは必定だ。
 今回の総選挙でも、与党が勝つのかも知れない。小泉政権の余命は一年だが、それに続く自民党総裁がもし、安倍普三のような右派が後継することになったら、日中関係は取り返しのつかない状態まで悪化するであろう。そうなっても、民主主義だから仕方かないか。
 村上新八