哲学者の梅原猛氏が興味深いことを書いておられる。
 雌タニは産卵前に木に登り、核酸の匂いだけに反応して、木の下を通る動物の皮膚に食い込み、吸血して産卵の準備をするという。「雌ダニにとっては、この世界の他の一切のものは捨象され、核酸の匂いだけが現実なのだ」という。この話に連想して類似の人間の話を書かれている。
 「今日本で活躍している、短期日で何百億と言うカネを儲けたような人たちは、核酸の匂いに敏感なダニのように、カネの匂いにのみ敏感で、獲物とみるや飛び掛るような人間ではないかと思った。そういう人はこのようなカネの世界のみが現実の世界であると思っているようであるが、これはカネ意外のものが捨象された大変貧しい世界なのではなかろうか」と。まったく同感である。
 これを読んで真っ先に思い当たったのは「ホリエモン」であった。
 村上新八