米国のテロ恐怖は自業自得だが
リビアのカダフィ大佐の核兵器開発放棄に伴いAIEAがリビアの各関連物資を査察した結果驚くべき事実がわかった。
リビアが核兵器開発に着手したのは1997年だが、1980年代後半にパキスタンの核開発の父といわれるカ−ン博士が始めた「核のヤミ市場」に接触、ウラン濃縮関係の膨大な部品はすべて入手し、1万の遠心分離機を購入、組み立て寸前の状態であり、あと5年で成功の予定であったという。
これらの部品は、核開発の部品であることを隠して、マレ−シアなど15カ国に分割して発注、製造させたもので、その発注、受け取り、リビアへの引渡しは、カ−ン博士の核ヤミル−トを仕切るドバイの架空商社が行なっていたのだ。
それだけではない。カ−ン博士は、1990年代に、パキスタンの空軍機を使って何回も北朝鮮を訪問し、核兵器開発の技術指導や部品の供給を行なっていた疑いが濃厚なのである。
パキスタン政府は、カ−ン博士個人の行為だと言っているが、長距離ミサイル技術との交換が目的で政府が背後にあったことは明白なのだ。
このようなカ−ン博士の動きについてはオランダ政府もその情報をアメリカへ提供しており、米CIAはすべて知っていながら、オランダには手を出さぬようにと依頼するなど放任していたのである。
その当時は米政府は核拡散には興味を示さず、その上アフガニスタンにソ連が進攻していた時期で、パキスタンを軍事的に重視していたことが、放任した理由だったのだ。
このような米国の姿勢は、9.11の同時多発テロの勃発で一変した。ここまでやるテロなら次ぎは核攻撃テロだ、核拡散をとめねばと気づいたのである。しかし遅すぎた。
リビアというお得意様がなくなった「核のヤミ市場」はこれに代わる顧客を求めて世界を物色中なのだ。リビアに納入するはずのウラン濃縮用のアルミパイプ1万本のほとんどがいまだに行方不明のままなだという。
こうして、核拡散は世界にじわじわと広がっているのである。いまさらアメリカの不明を責めてもどうにもならぬが、核のテロに怯えきるアメリカは自業自得の臍を噛むだけでは済まされないのである。
村上新八
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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