8日の郵政民営化法案の参院本会議での採決は否決の色が濃厚になってきた。
 「否決なら、内閣不信任だ、衆院を解散する」と頑として我執を曲げない小泉総理に、解散は断念するようにとの森派の説得努力が重ねられた。
 「解散なら森派会長を辞任する」と先に牽制球を投げたが効果なし、それではと福田前官房長官と中川自民党国対委員長を派遣して説得に努めたがこれもだめ、最後の切り札として森会長が説得に乗り出したが、「君は変人以上だ」と捨て台詞を吐いて森氏は「さじを投げた」「もう会うこともないだろう」と物別れに終わった。
 森氏は「衆院で可決のために努力した人たちが路頭に迷うようなことがあったら、君はどう責任をとるんだ」と総理に詰め寄ったというが、総理は「オレの信念だ。殺されてもいい。そのくらいの気構えでやっている」と耳を貸そうとはしなかったという。
 森氏は恩情家でもあり、総選挙になって自民系議員が共倒れになる悲劇や自民党分裂の危機をどうしても避けたかったのだ。しかしその気持ちは跳ね返された。
 首相就任当初から指摘しているように尋常な人ではない超変人だ。だからこそ改革をやろうとした点は認めるが、外交でも内政でも我執しかなく、策略も謀もないドキホ−テなのだ。だから不良債権問題を除いてすべてが食い散らしに終わってしまったのだ。
 自民党が分裂したら、「自民党をぶっ壊す」と叫んだ公約は果たせたという皮肉な結果に終わるのだ。
 国民と自民党がこんな総理を選んだのが誤りであったと言えばそれまでだが、それだけではない自民党主導の政官業癒着の長い政治史のなかに、その真実があると思うのである。
 村上新八