1年以上ストップしていた6者協議が、米朝の水面下の交渉によって、北朝鮮が7月後半にでも協議復帰に同意したという。
 北朝鮮は、米国が北朝鮮の主権を認め、「圧政の拠点」という認識を撤回したと認められたからだと述べている。
 いくら独裁政権であっても、領土、国民とそれを統治する政府が存在する限りは主権は認めざるを得ないであろうが、数多くの現地映像や脱北者の証言などで認識されている「圧政の焦点」という事実はなんら変わってはいないのであるから、これをアメリカが撤回するはずはない。
 北朝鮮が、そういう表現をしたのは、「圧政の焦点」指摘の撤回を6者協議復帰の条件としてきたから、それが撤回されたと信じる、とでも言わない限り、6者協議復帰の筋が通らないということだけの話に違いない。  では何故北朝鮮はそういう演出をするのか。それは、このままでは北朝鮮だけがゴネている印象を与え、中韓からも孤立しかねないと思ったからであろう。中韓からの孤立は北朝鮮にとっては死活問題なのだ。それを避けて、6者協議復帰に一応は同意して、そこで米国に米国が呑みにくいような新たな要求を突きつけて、ボ−ルを米国に投げ返すのが当面の策だと考えたに違いない。
 ライス国務長官が言うように、6者協議に顔を出すだけで、核問題に進展がなければ、北朝鮮に時間を稼がせるだけに終わるのだ。その公算が大きいと思わざるを得ない。 
 村上新八