日経新聞が5月、6月にわたって実施した調査によると医師免許の更新制度については86%が賛成であったという。 
 医師免許は、国家試験を一度合格すれば、その資格は生涯保証されるのが現行の制度である。 
 更新制度が必要だと感じている理由は三つある。 
 その第一は、医療ミスや医療過誤に基づく賠償請求裁判が多発している事実から、医師に対する信頼度が低下していることである。これは、世論が厳しくなって、医療ミスの隠匿度が低くなったことにもよるのであろう。が、患者側からすれば、それだけ医師の技術に対する信頼度が低下していることに繋がるのである。
 第二は医師の不勉強が目立ち始めていることである。 
 医学は日進月歩であり、医学的定説も次々に覆されていながら、それに追いつかないでいる医師がほとんどであると事実だ。新聞やインタ−ネット情報で医療情報や新技術情報については、患者のほうが詳しいことさえあるのだ。それは、医師になると、特に開業でもすると、時間が取れなくなって新技術を勉強する暇もないし、学会にも出なくなる医師が多くなるからでもある。
 第三に医師の技量水準が患者側にはさっぱり分からないという心配があることである。 

 米国のように、医師の治療成績がガラス張りに公表されることがなく、すべて秘密にするという厚労省の医師会にしか顔が向いていない秘匿主義の伝統から、患者は「口コミ風評」くらでしか医師の良し悪しはつかめないでいる。だから良い医師に当たるも当たらないも運任せになってしまうという心配である。
 この三つの心配を少しでも解消するのが医師免許の更新性だ、と考えていることが9割近くが更新性賛成の理由なのだ。厚労省は迅速にこれを実現すべきである。
 村上新八