イランの大統領決戦投票で超保守派の前テヘラン市長アハマディネジャド氏が62%もの大量得票で、ラフサンジャニ最高評議会議長に圧勝した。
 この理由は、失業率や貧富格差の増大でハタミ政権の改革路線に失望した市民が、ハタミ政権の後継者にNOを突きつけたものであろう。
 イランの大統領選挙は、保守派で固めている護憲評議会が候補者審査で改革派の立候補を認めないなど、非民主的ではあるが、これだけの大差で当選したということは、それだけの理由ではないことを示すものであろう。
 熱心なイスラム教徒であり、貧民出身で貧困地区に住むアハマディジャネド氏なら、富者が貧者に金やものを分けるというイスラムの教えを忠実に実行するという期待もあったのであろう。
 しかし、新大統領は対米強行派で、疑惑の核開発問題にも強硬姿勢を貫くものと予想されている。これが米国の最大の懸念なのだ。イランは米国が「悪の枢軸」呼ばわりされている国だから、同じく北朝鮮と組んで核開発を推進するようなことになることが、米国の頭痛の種なのだ。このイランの反米感情に乗じて、中ロがイランに接近することも心配である。
 更に、隣のイラクのシ−ア派の反米勢力を支援し、イラクの混乱を増幅すさせるかも知れないという心配もある。
 ここは、イランとは友好関係を保っている日本が仲介の労をとる場面ではないかと思う。
 村上新八