ディ−ゼル車の排ガス中に含まれる粒子状物質除去装置(DDF)の性能を偽って販売した三井物産が摘発された。その分野での三井物産のシェアはトップで30%を越え、販売額は200億円、そのうち自治体の補助金は80億円に達するという。
 このDDFの開発責任者は「開発や研究に費用が相当かかっていたので、販売計画を狂わせるわけにはゆかず、東京都の指定を早く取りたかった」と容疑を認める供述をしている。この不正事件には、性能検査に立ち会うべき検査官が、性能テスト中に釣に出かけ、その間にテストデ−タが偽造されていた、というお粗末な一幕も発覚している。
 一般にメ−カ−には、他部門からの圧力を避けるために社長直属の形になっている「品質保証部」とか「品質監査部」が設置され、自社製品の安全、品質、性能のチェックを行う制度があるはずで、そこで完全に品質が保障される仕組みになっている。これは「製造物責任法」が成立して以来ますます厳しくなっている。
 このような機関があって、機能しておれば、このような問題は避けられたはずである。 

 三井物産のDDFの開発責任者は、目標管理制度の下で、そのプロジェクトを成功させないと、出世に響くという思いからデ−タの捏造を図ったのであろうが、そんなことは当然予想されることで、それを見越してチェックする体制こそが、品質保証機関なのである。
 その機関を置いてなかったか、あっても機能しなかったのだとしたら三井物産はものを製造、販売する資格はないことになるのだ。
 村上新八