イラクでは外国人メディアを拉致、殺害する武装勢力の跋扈で、報道関係者がイラク入りを避けているために、イラク現地の復興がどうなっているのかはさっぱり分からない。
 イラク関係の報道は、このところ激増している車による大規模な自爆テロのニュ−ス一色になっている。最近の自爆テロの特徴は、クルド人の多いイラク北部、中部での警察や警官募集場所とか、シ−ア派の多い地域ではモスクを狙った自爆テロという点にある。いずれも人が集まっているところだから死傷者の数も今までになく多い。
 1月末に国民議会選挙があり、3月になってようやく組閣にこぎつけたものの、いまだに主要閣僚の数ポストが決まらない状態のかなで、選挙をボイコットし、政治から蚊帳の外の感のあるスンニ派がテロによる撹乱作戦に出たのであろう。
 しかし、スンニ派にも確たる見通しはないのだ。テロでかき回しているだけなのだ。これに一番迷惑しているのはテロで復興が遅れる一般庶民のはずである。
 米国企業などが元請で請負っているイラクの復興工事をすべてイラクの企業とイラク労働者にやらせるのだ、その資金は石油の輸出収入を使えばよい。それによって、イラク人の失業は減り、イラクの復興は自分たちの手でやっているという実感をイラクの一般庶民が持てばテロも手が出せなくなるのではないか。
 こういう観点からもイラク復興のあり方を検討してみる価値はあると思う。
 村上新八