議題もきまらないまま2日から国連本部で開催されている「NTP再検討会議」は核拡散防止対策の引き締めをねらいとするものであろう。
 これに出席した米国のラドメイカ−国務次官補は、NTPを脱退し核兵器保有を公言して憚らない北朝鮮や核開発の疑惑を持たれ、NTP脱退を懸念されているイランを非難する傍ら、核輸送監視や核テロや核の闇流通市場の撲滅、AIEAによる抜き打ち査察体制強化などを提案した。いずれも尤もな提案である。
 また、AIEAのエルパラダイ議長が提案した朝鮮半島と中東地域を非核地帯とする
提案も時宜を得たものと評価する。
  しかし、核保有国に対する非核保有国の不満は大きい。5年前のNTP会議で決議された「核兵器廃棄に向けた核軍縮」に核保有国は不履行のまま、米国などは新たな小型核兵器まで開発しつつあるという非核とは逆の展開になっているからである。
 核軍縮と核拡散防止は車の両輪であり、並行して進められねばならない問題であるのに、このままでは核拡散は止められないと思う。その結果はどこかで核兵器が殉教歓迎テロの手に渡って、世界のどこかで核爆発の悲劇が起こることになろう。世界はそれを絶対に防ぐ方策を早急に打たねばならぬのだが。
 村上新八