田村です。

 高崎競馬ラスト報告の続きです。

 31日はいよいよ最終日。後の報道によると、
入場者数は普段の3倍の6,500人とのこと。
ただ、30, 31日は入場無料となっていて、
私も一度途中退場して、入口の撮影をしていました。
よって、入場者数を入口でカウントしていたとすると、
この数もいまいち正確性に欠ける様に思います。

 私が現地にいた感覚では、最終日としての盛り上がりも
いまいち欠けていた様に思います。というのも、
当日は最高気温1℃という寒さ。これで出足が鈍ったのは
否めないと思います。予報は「曇り時々雪」でしたが、
開場時はなんとか曇りで収まっていました。

 5レースまでは曇りで収まっていましたが、
5レース終了時頃から雪が降り出したかと思うと、
あっという間に本降り。「今後の天候によっては、
競走を途中で打ち切る場合もありますので、
ご了承ください。」というアナウンスも流れ出しました。

 8レースでは発走予定時刻10分前になって
やっとパドックの停止命令がかかり、
発走予定時刻3分後にやっとファンファーレ。
このレースを施行すること自体迷っていることが感じられ、
「これが最後のレースになりそうだ。」と私も思いました。

 8レースは高崎競馬唯一の女性騎手、赤見千尋騎手が優勝し、
確定、払い戻し金の発表が終わった直後、案の定、
「天候の悪化により、競走の安全、公正確保が困難なため、
以降の競走は行いません。」というアナウンスがありました。
当然、最後の重賞となる筈だった高崎大賞典も行われず、
興行的には前哨戦の筈だった前日の2歳優駿が、
結果として最後の重賞になってしまいました。

 レース終了後は、まず騎手による挨拶とムチの投げ入れが行われ
ましたが、安全上の問題があるので私はもともと投げ入れには
反対なのですが、この日は雪で特に危険なのに、
投げ入れをすることに疑問を持たざるを得ませんでした。
益田競馬場の最終日で行われていた抽籤の方がいいと思うのですが。

 次に競馬組合会長の挨拶が行われましたが、野次は殆ど無し。
廃止を決めた張本人(小寺群馬県知事)ではないからでしょうか。

 その後は、騎手が下馬する場所の横のファンとの仕切り場所前に
ファンが群がり、騎手が散発的に馬具を投げ入れる状態が延々と続き、
なんとも締まりのない終わり方になりました。終了記念の仕掛花火も
行われましたが、靄で全く見えない状態。こちらもなんとも締まりがない。
「サンエムキング(元中央OP。高崎大賞典に出走予定だった。)に会わせろ!!」
と叫んでいたファンもいたけど、もうサンエムキングもトレーニングセンター
に帰っていたでしょう。

 さて、入口横にブースが設けられていて、厩舎関係者、馬主の家族と
思われる方が、アンケートとやらをおこなっていました。
第1問が「競馬が廃止されると馬が処分されるのは仕方がないと思いますか?」
だと。確かに心情的には「はい」とは答え難いけど、
競馬が存続しても競走から引退した馬は処分されているわけで、
それが経済上止むを得ないことだと言うのであれば、
高崎競馬の廃止も群馬県の経済上止むを得ないことなわけで、
都合のいい時だけ馬の処分がどうのこうのを持ち出すのはアンフェアでしょう。
ということで、早速協力する気が無くなりました。

 で、彼らが目指しているのが、境町トレーニングセンターを
新競馬場にすることの様ですが、どれほど現実性があるのか。
まず誰が主催するのでしょう。高崎競馬の廃止に踏み切った
群馬県が受け入れるとは思えないし、境町トレーニングセンター
のある境町は1月1日付けで合併して伊勢崎市に編入しましたが、
オートレース場もある伊勢崎市が競馬を主催することに
住民の理解が得られるのかははなはだ疑問です。
また、境町トレーニングセンター自体が高崎競馬の施設なので、
いずれは立ち退きを求められるでしょう。今のところは厩舎も開業でき、
前述のサンエムキングも高崎所属として先日根岸ステークスに
出走していましたが、いつまでも開業していられるとは思えません。
そして、群馬県で一番乗降客が多いと思われる高崎駅から徒歩10分の
交通至便な場所にあって黒字化できなかった高崎競馬と同じ様な
馬や人で、郊外で競馬を開催して黒字化できるのか、
疑問を持たざるを得ないでしょう。

 ネットでの勝馬投票券販売を軸に参入表明し、廃止撤回を要求した
ライブドアの申し入れを断ったことに不満を持つ厩舎関係者もいる様ですが、
その後提携した高知競馬、笠松競馬の計画でも、販売開始は8月予定
とのことで、年度末(3月末)を待たずに廃止しようとしていた高崎競馬に、
そこまで待つ余裕はないでしょう。第一、ライブドア堀江社長も、
近鉄球団買収や球界新規参入については、ファンの多数の希望と
一致していたため、世論の支持を得られたのですが、
高崎競馬の場合、存続を望む人より、廃止を待ち望んでいた人
の方が多いでしょう。その点を堀江氏はどう考えていたのかな。
堀江氏、今度はマスコミ進出を狙っている様ですが、
果たしてどうなることやら。

 高崎競馬の”次”としては、宇都宮競馬が3月での廃止を正式表明済み。
これで北関東ブロックは全滅。
笠松競馬は2005年度は”テスト期間”として存続が決まった様ですが、
2005年度中に黒字化の目処が立たなければ廃止濃厚です。
高知競馬は一度高知県と高知市で累積赤字を清算しており、その際に
「これ以上赤字を出せば、即廃止。」という条件をつけられており、
その直後に裏スター・ハルウララが出現し奇跡的に存続していますが、
そのハルウララもあと1戦での引退が決まっており、その後は
かなり厳しい状況になると思われます。
姫路競馬は今年度中に姫路競馬単独で黒字化できなければ、
廃止して園田への一本化が検討されている様です。
その他にも、具体的な廃止検討はまだ行われていないものの、
赤字が続いている地方競馬も少なからずあります。
いつ見られなくなっても不思議ではない地方競馬も少なからず
ありますので、地方競馬場の近くに行く機会があれば、
地方競馬場にも足を運ばれることをお勧めします。