Re: “級数”とは、Cauchy に とって、何であったか?
"Yuzuru Hiraga" hiraga@slis.tsukuba.ac.jp 様
あまり物を考えることもなく(まあ、その時間も無いのですが)
思い付きで、いい加減な疑問や質問を並べ立てて、申し訳ない
ことです。 それでも御説明を読ませて戴いて、多少は通勤電車の
中などでアホウなりに考えてもみました。 コメント戴くことを期待して
今の私の考えを書いてみます。
1. 級数 Σ aj を初項からの序列的な有限和 Ar=Σaj ; (j=1..r) の
列に対応付けるのは、函数値の級数による近似計算などの
実用性要求を考えれば、自然な発想と思われる。
但し、有限和には項の置換に対する不変性があるので、
序列的有限和との関連は必然と言う訳ではない。 実際、index
の有限集合の包含関係に依る順序に対する収束定義*A も可能
な筈であるが、これは序列的有限和の収束とは一致しない。
*A:( Σ aj=α) ≡ ∀ε>0 ∃K:finite, ∀L⊃K (conv)
conv≡ (L : finite → |α−Σ'aj |<ε ) , where Σ' ≡Σ: (j∈L: finite)
2. 有限和と無限和の間を橋渡しする様な自然な関係が見い出せない。
級数を複素数列 から 複素数 Cへの線型形式と考えて、"級数和"
に対して、その採否は兎も角、その尤もらしい条件を考えてみる。
C1:有限個のjを除き、aj=0 なる数列の成す空間を S0 と書くとき、
S0に属する数列の級数和は有限和に一致する。
C2:上述Aの意味で 0 に収束する級数の空間を J と書くとき、Jに
属する数列の級数和は 0 である。
(2つの数列 a=(aj) , b=(bj) の差 a-bがJに属するならば
両者の級数和は相等しい。)
C3:2つの数列 a=(aj) , b=(bj) の一方が他方に0列を部分的に
挿入するか、除去することで他の数列と出来るとき、両者の
級数和は相等しい。
C4:2つの数列の一方が他の数列の置換として得られるとき、両者の
級数和は相等しい。
--
C2 があれば上記Aの意味での級数和は定義できるでしょう。 Aの
意味で Σaj=α ならば (aj−α・δj,1)=(bj) ∈J でしょうから。
しかし、ここから先の有り様は勝手気儘である様に思えます。
例えば S0 に属さない 数列 e1 を見出し、e1 と C2,C3,C4 で
述べた関係にある要素を S0 に付加して生成される線型空間を S1
と書くと、任意に Σe1=β1 と定義してS1上で級数和が定義出来る
ことでしょう。 同様に、S1 に属さない 数列 e2 を見出し、e2 と
C2,C3,C4 で述べた関係にある要素を S1に付加して生成される
線型空間を S2 として… として、S0,S1,S2, … の系列が出来ます。
もう少し洗練された手法も可能でしょうが、何れにせよ、数列を有限和
として表現する基底が取れ、これらを同値関係によって分類すれば
級数和を定義できそうに思えます。
類ごとに勝手な級数和の値を割り振ることが出来るでしょうから、
このままでは級数和の定義は無定形と言わざるを得ない。
何か、統制的な条件定義が欠けている様に思えます。
3. 無限を手なずけるには、結局収束列との関連付けが必要に思えます。
全く当てずっぽうですが、級数の変換
Laplace型 Σak → Σak・exp(-kx)=A(x)
Mellin型 Σak → Σak・k^(-x)=a(x)
などを考え、解析接続によって収束列との関連付けるを図ることは1つの
方法でしょう。 だが、関係付けに選択原理も無いのが欠点です。
> =====
> で、話としてはまだ入り口段階なのですが、今は時間がないので
> 続きは別便にします。
> ただし、間に休みが入りますので、続きは 24 日以降になってしまいます。
>
> (平賀)
楽しみにしております。
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