Re: 自衛隊員の住む建物に入ってのビラ入れの件について
青龍です。
"Lamia" <lamia@yahoo.co.jp> wrote in message
news:cq8c4t$29du$1@nwall1.odn.ne.jp...
>> ピザ屋のビラも、訪問販売や宗教の勧誘も違法性を認識して
>> こっそりと行われいるんですか?にわかには信じがたい話です。
>
> 住民から来ないで欲しいと何度も制止されているにもかかわらず、
> 「表現の自由だ」と居直って、ビラを投函するピザ屋がいるのですか?
> そちらのほうが信じられませんが。
前にも一度書いたし、blogでも取り上げましたが、この場合の「住民」の
拒否というのは、住民の全員一致の意見でも多数決で決まった意見でも
ありません。裁判記録を見る限りでは、ビラをまいている被告人を見かけ
た住民の一人が個人的に抗議したにとどまっています。
集合住宅において、このような住民の一部の意思を全体の意思と見な
すのは他の住民の外部とのアクセスの権利を侵害する危険性があり妥
当ではありません。
# たとえば、自民党の後援会の勧誘などで自民党員が集合住宅を訪問
したときに、民主党支持者が自民党なんか嫌いだからこないでほしいと
いった場合、自民党員がそれでも他の住民を訪問に来たら住居侵入罪
で逮捕すべきでしょうか?
被告人も、住民個人から「注意」は受けたが、官舎として正式の抗議は
なかったからビラ配りを続行したと陳述しています。官舎として意見をまと
めて抗議をしていたら、被告人もビラ配りをやめていたかもしれません。
>> 万引きの場合はどんなに少額のものでも、それが違法であることは
>> 一般に認識されています。これに対して、住宅へのビラ配りや訪問販
>> 売・宗教の勧誘などはそもそも日常的に行われていることであり、違
>> 法とは認識されていません。
>
> しかし、行為そのものは今回の裁判でも違法だと認定されましたね。
> 違法だが軽微な犯罪なので無罪だと言う、ある意味では矛盾した判決
> が出されたわけで、その矛盾が問題だと指摘しているわけです。
刑法において論議されている可罰的違法性の理論を知っているなら、
別に矛盾でも何でもないのですが。
もっとも、私の立場からすれば可罰的とかいう以前に、そもそも違法
性自体が認められないのでその点で今回の判決には不満があります。
Lamiaさんはスルーしてしまいましたが、当の自衛隊自体が集合住宅
に隊員募集のチラシ配りをしていることをどのように説明するのでしょう。
自分たちがやっていることを他人がやったら違法だと主張するのはすご
い矛盾ではないでしょうか?Lamiaさんがビラ配りが違法だと主張するの
であれば、この点について説得力ある説明をお願いします。
> 表現の自由を守るためなら、その行為の違法性には目をつぶるべきだ
> というのならば、芸能人が公道上で行なったゲリラライブを道交法違反で
> 検挙するべきではないでしょうし、これまで検挙してきたことと、どのように
> 整合性を取るのでしょうかねぇ。
まともな憲法学者なら、表現の自由か住民のプライバシーかどちらを優先
するのか、なんて粗雑な議論の建て方はしません。
両者を調整する過程で、表現の程度・態様、それによって侵害される利益
の程度などの要素を衡量して違法かどうかを判断するでしょう。
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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